こだわりの副作用
1.こだわりの効用
自分が行っている活動に対して、何かしらこだわりをもって臨んでいる人は結構いるのではないでしょうか。仕事や趣味などに対するこだわりはパフォーマンスを向上させたりより高い達成感を得られたりするなど、その活動に対する満足感を高めることにつながると思います。
こだわりはその人の個性を表しています。どのようにこだわるかということは個人の性格と関連していますし、何にこだわるかということは個人の価値観と関連していると思います。
相対的なものではありますが、こだわりの強い人もいれば弱い人もいると思いますし、幅広い対象にこだわりをもつ人もいれば特定の対象だけにこだわりをもつ人もいると思います。また、何に対してこだわりをもっているか、こだわる対象は人によって異なっています。ある人が強いこだわりをもつ物事は他にとってはあまり関心のないものかもしれません。
自分のこだわりについて理解を深めることは自分自身を知るということであり、自分の人生を豊かにするための示唆を与えてくれるものかもしれません。
2.こだわりの副作用
ただ、そんなこだわりも時に逆効果になってしまう場合があります。こだわりが強くなりすぎてしまうと、妥協することが難しく(あるいは、出来なく)なってしまうのです。
こだわりは充足感を得るために重要なものですが、ほぼ全ての活動にはそれを行うためのコスト(時間・お金・能力など)がかかり、コストは基本的に有限です。自分がかけられるコストの限界を超えてこだわっていくことは現実的には難しいのですが、こだわりが強すぎると、こだわりとコストのバランスがとれなくなってしまいやすいのです。
こだわりの強い人が満足いくまでこだわることが出来ない状態が続くと、次第に不全感を抱くようになり、自尊感情の低下や不安感の増大が生じるかもしれません。そうすると情緒的に不安定になったり抑うつ的になったりして、精神的な健康を損なうことになってしまいます。
3.自分のこだわりへの理解
こだわりは多かれ少なかれ誰でももっているものだと思います。それは自分が取り組む活動に対する思い入れを強くしてくれるもので、満足のいく結果が得られた時の喜びや達成感を高めてくれます。
しかしながら、強すぎるこだわりは自分が望む目標へのハードルを上げてしまい、自分で自分を追い詰めることになってしまうかもしれません。また、こだわることは本来、ある目的を達成するための手段として行われることですが、自分のこだわりに関心が集中してしまった結果、手段が目的化してしまい、本来の目的を見失ってしまうこともあります。
多くの場合、こだわりがマイナスに働くことは少ないかもしれませんが、何かうまくいっていないと感じた時は、自分が強くこだわっていることはないか、自分が何を目的にしていてそのためにしていること、すべきことは何かなどを見直してみると状況を改善するヒントが得られるかもしれません。
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「文責:川上義之
臨床心理士、公認心理師。病院や福祉施設、学校などいくつかの職場での勤務経験があり、心理療法やデイケアの運営、生活支援などの業務を行っていました。2019年に新宿四谷心理カウンセリングルームを開設、現在は相談室でのカウンセリングをメインに行っています」
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