我慢と発散
1.我慢と発散
宣言がだされてから2週間ほどが経過しました。現時点では5月6日までの期限は変更がありませんので、半分の期間が過ぎたことになります。宣言がだされる以前から外出自粛要請のだされていた地域もありますが、要請や宣言がだされる前後で生活状況が大きく変わった人は多いと思います。
行動が制限された状況下では多かれ少なかれフラストレーション(※1)が溜まるものです。個人差はあると思いますが、あまり感じていない場合でも、もしかしたら自分の変化に気づいていないという可能性もあると思います。
ウィルス感染が拡大している状況で我慢を強いられることはやむを得ないことではありますが、健康を損なってしまっては今の状況が終息してからの生活に支障がでてしまいますし、ストレスを溜めこんでしまうと普段では考えもしないような思わぬ行動をとってしまうかもしれません。
そのため、自分が感じている不安やストレスに耐えることと同じくらい、適度にそれらを和らげることが重要になります。我慢することと発散することのバランスを上手にとっていくことが健康を維持していく上で大事なことです。
※1フラストレーション
…欲求不満。欲求の満足が妨げられた状態、またはそこから生じる不安、緊張。
2.発散方法の見つけ方
自宅での過ごし方については、自分に合った方法を見つけるのことが重要です。具体的な過ごし方については各種メディアで色々なものが紹介されていますし、自分で考えて試してみることもいいと思います。
ただ、自分に合った方法がスムースに見つかればいいのですが、なかなかしっくりくる方法が見つからない場合もあるかもしれません。そのような場合に有効と思われる方策をいくつか挙げてみます。
1.今の自分の状態を明確化する
まずは今の自分の状態をある程度明確にとらえておくことが大事だと思います。自分がどんなことを望んでいるか、何に不満を感じているか、心身の状態をどう感じているかなど、自己に関する情報を収集してみましょう。それによって自分がとるべき行動がみえてくるかもしれません。
たとえ読書が趣味であっても身体を動かしたいと思っている時に読書をしてもストレスを和らげる効果は薄くなってしまいます。
2.自分の状態の変化を観察してみる
活動を行う前、行っている最中、行った後で自分の心や身体の状態がどうなっているかに意識を向けてみましょう。気分状態はどうなっているか、活動に集中できているかどうか、リラックスしているかどうか、など自分の状態に変化が起こっているかどうかを観察してみましょう。自分にとってポジティブな変化が起きているとすればそれがどれくらい持続しているかも大事なポイントです。
3.目的・目標を立てる
活動を漠然と行うよりは目的・目標がはっきりしている方が活動に対するモチベーション(※2)は高まると思います。活動の時間や量など今その時だけの目標でもいいと思いますし、「将来的にこういうふうになりたい」というような長期的な目標でもいいと思います。大事なことは自分が行う活動に方向性をもたせること、スタートとゴールを意識することです。
以上、3つほど挙げてみました。他にも方策はあると思いますが、包括的に網羅することはここでは難しいですし、意識するポイントが多くなりすぎても考えすぎてしまって、逆に見つかりにくくなってしまうかもしれません。
考え方のひとつではありますが、活動を継続する上で大事なことは楽しめることや達成感をもてることだと思います。楽しみや達成感という観点から上記3つのポイントを意識してみるといいかもしれません。
※2モチベーション
…行動へ向かわせる力、目的意識。
3.命を守るために
仕事、学業、遊び、旅行など、様々な活動を制限しなければならない状況は異常な状況ではありますが、ウィルスの感染爆発を防ぎ、医療崩壊を起こさせないために大切なことです。
もちろん感染の広がりを0にすることは相当に困難なことですし、不幸にも亡くなってしまう人は実際に増えています。
しかし、重症になってしまっても医療にかかることができれば不幸な結果になってしまう可能性を下げることができますし、そのためにも医療にアクセスできる状態を維持していくことは重要な事です。
過去に何度かパンデミックは起こっていますが、それが永遠に続いているわけではありません。今回のコロナウィルスもいずれは終息していきます。その時まで一人ひとりが感染拡大を防ぎ、自らの心身の健康を維持することが自分や他者の命を救うことにつながると信じています。
先の見通しがつかない状態は強い不安を感じさせるものだと思いますが、早く終息することを祈り、なんとかその不安を和らげながら辛抱していきましょう。
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「文責:川上義之
臨床心理士、公認心理師。病院や福祉施設、学校などいくつかの職場での勤務経験があり、心理療法やデイケアの運営、生活支援などの業務を行っていました。2019年に新宿四谷心理カウンセリングルームを開設、現在は相談室でのカウンセリングをメインに行っています」
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