外出自粛時の過ごし方を考えてみる②
1.緊急事態宣言の拡大
先週緊急事態宣言がだされましたが、感染の確認された人数は増えており、本日は先週だされた地域以外にも宣言の範囲が拡大されました。感染拡大を防ぐために引き続き人との接触を控えることが必要になります。また、併せて手洗いや消毒などを徹底し、自分が感染することに注意をしていくことが大事です。
ただ、前回のコラムでも述べたように、同じ状況が長く続くことは心にも身体にも大きな負担がかかります。その負担を軽減することが今回の難局を乗り切っていくためにも重要なことです。
今回も前回に引き続き、外出自粛時の過ごし方についてになりますが、今回は一人暮らしの場合の過ごし方、および同居する人がいる場合の過ごし方について考えてみたいと思います。
2.一人で過ごす
一人で過ごすのが好きな人もいれば、苦手な人もいると思います。好きな人にとっては解放感を得られるかもしれませんし、苦手な人にとっては耐えがたい苦痛と感じられるかもしれません。
苦手な人の場合、外出自粛の状況下でもなんとか他者との関係がもてる方法を探すと思いますが、一人が好きな人は他者と接する必要性を感じないかもしれません。しかしながら、どんな人の場合であっても一人でいる状況が長く続くと自身に何かしら変化が起こってきます。それは孤独感や不安などの感情面の変化であったり、自律神経系を介した身体面の変化(消化器症状など)であったりします。
それらの変化がさらに高じると、うつや不安などの精神症状が出現したり、身体疾患のある場合には病状の悪化につながったりする可能性があります。
そのため、外出自粛下では、多少面倒に感じたとしても人と関係をもつ機会をつくっていくことが大事です。現代では通信環境が発達していますし、直接でなくても人と接する機会はつくりやすいと思います。相手が簡単に見つからないという場合には、自治体などで電話相談窓口を設けていますので、そちらに電話してみるのもいいと思います。
自粛状況下では普段よりも受ける刺激が少なくなりがちです。そのため積極的に刺激を受ける機会をつくって脳を含めて心身を活性化させる努力が重要になります。
3.同居する人と過ごす
同居する人がいる場合には、人と接する機会をつくることが難しいということはあまりないかもしれませんが(家族の状況によっては難しい場合もあるかもしれません)、家にいる時間が長くなると顔を合わせる時間も長くなるので、一人暮らしとはまた違った問題が起こってくると思います。
普段よりも顔を合わせる時間が長くなるということは相手のことを気にかける時間が長くなるということですし、普段は気にならなかったことが気になるようになるかもしれません。あるいは、同居人との間になんらかの葛藤を抱いている場合、その葛藤が表面化しやすくもなります。一緒にいる時間が長くなることで相手に対する気懸かりや葛藤が強まってしまうと、それをきっかけに相手と衝突してしまうことがあるかもしれません。
また、ウィルスが広がっている現状では強い不安を感じるものですし、その状況が続いていることに対してイライラした気持ちを感じているかもしれません。そういった気持ちを同居する人にぶつけてしまうこともあると思います。
同居する人と対立することが増えてしまうと相手に対するネガティブな気持ちが強くなりますし、あまりに悪化した場合は関係の修復が困難になってしまうかもしれません。
そのようなことを避けるためには、今が非常な状況であることを改めて自覚し、そのため普段とは心身ともに異なる状態であることを理解して、冷静になれるよう努めることが大事だと思います。冷静な状態で相手とコミュニケーションがとれれば、建設的な話し合いができる可能性が高くなると思います。
それでもずっと冷静な状態を保ち続けるのも難しいものです。落ち着いた状態を維持するためには、同居人と一緒にいる時間とそれぞれのプライバシーを確保する時間で区切りをつけられるようにすることが重要になります。どんな状況でプライバシーを確保できたと感じるかは人それぞれだと思いますが、必ずしも一人で部屋にこもるというわけでなく、同じ空間に人がいたとしても相手のことが気にならないなら一人になっていることと同じと言えるかもしれません。
全ての人に当てはまるわけではないかもしれませんが、同居する人がいる場合には、一人暮らしの場合とは逆に刺激を減らす努力が必要になるように思います。
4.緊急事態を乗り切るために
自粛下での過ごし方について、一人暮らしの場合と同居する人がいる場合と分けて考えてみました。それぞれ課題となりやすい事柄は異なりますが、普段とは違う生活状況になっているため、健康を維持する方法も普段行っていないようなことを取り入れることが大事になると思います。
普段とは違う状況下で普段と同じ状態を維持する、というのは大変なことだと思いますが、緊急事態がずっと続いていくということはないと思います。今はどうしても耐える状態になってしまいがちですが、普段とは違う状況を楽しむ心持ちというか、気持ちの余裕をもてる状態をつくれれば、今の状況を乗り切っていくのが少しだけ楽になるかもしれません。
感染の可能性に対して油断をしてはいけませんが、心に楽天的な部分を残しておくことが健康を維持する上では大事なことだと思います。
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「文責:川上義之
臨床心理士、公認心理師。病院や福祉施設、学校などいくつかの職場での勤務経験があり、心理療法やデイケアの運営、生活支援などの業務を行っていました。2019年に新宿四谷心理カウンセリングルームを開設、現在は相談室でのカウンセリングをメインに行っています」
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