睡眠の働きの補足
1.睡眠欲求と覚醒力
人は毎日の生活の中で概ね同じ時間に眠気を感じ、同じ時間に目を覚ましています。このような規則性は概日リズム(体内時計)と呼ばれていますが、睡眠に関するリズムを維持しているのが「睡眠欲求」と「覚醒力」です。
睡眠欲求と覚醒力のバランスによって眠気を感じたり活動に必要な覚醒水準が保持されたりしています。この調整には自律神経の働きやホルモン分泌が関わっており、光などの外的刺激やストレスなどの内的刺激に影響を受けます。
1-1.睡眠欲求
睡眠欲求は覚醒している(起きている)時間の長さに応じて増大していきます。1日、2日くらいの徹夜はできますが、それ以上となると眠気に抗うことが難しいと感じる人が多いのではないでしょうか。また、激しい活動後の強い疲労感などによっても睡眠欲求は高まります。
睡眠欲求を解消する手段は当然ですが、眠ることです。睡眠をとることによって睡眠欲求は次第に減少していき、十分な睡眠をとれると覚醒力が高まり、目を覚まします。ただ、なんらかの原因によって睡眠の質・量が不十分であると、覚醒した後も眠気や疲労感、倦怠感などを感じることがあります。
1-2.覚醒力
覚醒力は概日リズム(体内時計)によって決まった時間に増大します。生活の状況によって夜就寝する時間が違っていても朝ほとんど同じ時間に起床するのは体内時計の働きによるものです。
覚醒力は1日のうちで強まったり弱まったりしていますが(午後になると眠気を感じるなど)、覚醒力が最も強くなるのが就寝する数時間前で、就寝する1~2時間前になると急激に低下していきます。この段階になると脳温度の低下やメラトニンの分泌が始まり、身体が眠るための準備状態に入っていきます。
メラトニンは睡眠を促進する物質ですが、明るい光を受けていると分泌が止まってしまいます。入眠前に光刺激を避けることが良い睡眠をとるために重要です。
2.睡眠不足のリスク
前回のブログでも触れましたが、具体的にいくつか挙げてみます。
・日中に感じる強い眠気や疲労感
・集中力・思考力・記憶力の低下
・頭痛・吐き気・めまい
・食欲の過少あるいは過剰
・ストレスを感じやすくなる
・うつなど精神疾患の前駆症状
睡眠不足の状態が続くと、次第に日中の活動にも大きな影響を及ぼすようになり、症状が重い場合には活動すること自体が困難になってしまうこともあります。
また、大人にとっても睡眠の影響は大きいですが、子どもの場合は健康の維持だけでなく、心身の発達にも影響してくるため、質・量ともに十分な睡眠がとれることがより重要になります。
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「文責:川上義之
臨床心理士、公認心理師。病院や福祉施設、学校などいくつかの職場での勤務経験があり、心理療法やデイケアの運営、生活支援などの業務を行っていました。2019年に新宿四谷心理カウンセリングルームを開設、現在は相談室でのカウンセリングをメインに行っています」
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