目標を立てること
1.負のスパイラル
何かしら目標や目的をもって活動を行うことは、漠然を取り組むことに比べ、活動に対する動機付けを高めることにつながりますし、達成した時にはより大きな満足感を得ることができます。
心理的な状態に対してもポジティブな影響を与え、心身の健康を増進することにもつながると思います。
しかしながら、将来的な不安が強くなってしまうと先々のことをネガティブに考えがちになりますし、未来に対して希望を持てなくなったり自分には何も出来ることがないなどと考えたりしてしまうかもしれません。
そうなると活動を行うにしても目標や目的をもつことが難しくなり、さらに悪い場合には活動に取り組むこと自体が出来なくなってしまうこともあります。
活動が出来ない→自分を否定的に捉えるようになる→不安やうつ気分が強化される→活動が出来ない・・・という負のスパイラルに陥ってしまうとなかなかそこから脱け出すことが困難になってしまいます。
2.状況改善のための目標設定
心理的健康の悪化は身体的健康や生活状況にも影響を及ぼします。逆に身体的健康や生活状況が改善されると心理的健康も改善します。心理的な健康を改善するために、心理面にアプローチするのが良いのか、身体面や生活面からアプローチするのが良いのか、自分に合った方法を模索していくことが大事です。
状況を変えていくための方法のひとつとして生活の中で何かしら目標をつくることが挙げられます。目標といっても大層なものではなく、簡単に出来ることをひとつ持っておくことで良いと思います。
たとえば、カーテンを閉め切っているのならば、そのカーテンを少しだけでも開けてみるなど。
この場合の目標で大事なことは、今の自分の状態でも簡単に出来ることと決めたことが出来なかった場合でも「それでも構わない」と考えるようにすることです。
目標を難しい課題にしてしまうと実行すること自体出来なくなってしまう可能性を高めてしまいますし、また「絶対にやらなければならない課題」にしてしまうと出来なかった場合に気持ちの落ち込みが強くなってしまいます。
それでは心理状態をより悪化させる方向に働いてしまいます。
目標を立てる目的は「心理状態の改善」なので、その目的に沿った目標を立てていくことが大切です。
ひとつの目標が安定してこなせるようになれば、また別の目標を立ててそれに取り組んでいく、ひとつの目標の達成とまた別の目標の設定を繰り返していくことで心理状態も改善していくのではないかと思います。
3.急がば回れ
不安が強い状態や気持ちが落ち込んだ状態は苦しいものですし、早くなんとかしたいと思ったり、逆にもうずっとこのままで変わらないかもしれないと考えたりするかもしれません。
ただ、「早くなんとか」も「ずっとこのまま」も選択肢のない方向へ自分を追い込んでしまう結果になります。
今の自分に出来ることを探しながら、少しずつでも良い方向へ向かっていける選択肢を見つけていくことが大事だと思います。
併せて、苦しい状態を一人で切り抜けようとするよりも、誰か支えてくれる相手を見つけることで、より苦しい状態を乗り越えやすくなるのではないでしょうか。
自分でなんとかするべきことと他者に頼ってもいいことを分けて考えることが大切なのだと思います。
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「文責:川上義之
臨床心理士、公認心理師。病院や福祉施設、学校などいくつかの職場での勤務経験があり、心理療法やデイケアの運営、生活支援などの業務を行っていました。2019年に新宿四谷心理カウンセリングルームを開設、現在は相談室でのカウンセリングをメインに行っています」
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