子どもの保護膜としての大人
1.新型コロナの影響?
少し前のニュースですが、以下のような報道がありました。
米ニューヨーク「川崎病」に似た症状確認 新型コロナに関連か
(NHK NEWS WEB)
こちらの記事で医師が解説していますが、
新型コロナと『川崎病類似の重症の病気』を、現状でどのように理解すればいいか?小児科医が解説
(YAHOO ニュース)
以前から感染症と川崎病の関連は指摘されていたようですが、現時点では新型コロナウィルス感染症(COVID-19)が以前のコロナウィルス感染症と比べて川崎病を発症させやすいかどうかは不明ということでした。
COVID-19は子どもに感染したとしても軽症か無症状で経過することが多いと言われている中、今回のようなケースが報告されたことで心配になってしまう方も多いと思います。ただ、健康状態を細やかにみてあげることは大事ですが、成人に比べて軽症例が多いということは確かなようです。
新型コロナウイルス感染症に関するQ&Aについて
(日本小児科学会)
子どもが幼い場合は特にですが、自分の体調を言葉で正確に伝えることが難しいので大人が様子を見てフォローしていくことは大事なことです。
2.子どもが環境から受ける影響
今回の新型コロナウィルスが子どもにどの程度の影響を及ぼすのかは、ウィルス自体にまだ不明点が多く、現時点では確実にいえることは少ないようです。
ただ、ウィルスの広がりによる社会環境、生活環境の変化は子どもたちに大きな影響を及ぼしています。学校の休校、外出の自粛、遊びの制限や学習方法の変化など、子どもとしては困惑してしまうことばかりです。
環境面の変化は大人にとっても強い緊張を伴うものですが、子どもにとっては新しい環境へ適応した経験が少ないため、大人と比べて変化から受けるインパクトは大きいものになりがちです。
地域によって休校している期間の違いはありますが、国から休校要請が出されて3ヶ月近くが経過しています。緊急事態宣言の解除に伴って全国的に休校も解除されつつありますが、感染予防の継続が必要なこともあり、以前と同じ日常が戻ってくるわけではありません。このことは子どもにとってまた新しい環境に入っていくように感じられるかもしれません。
子どもによっては新しい環境に慣れていくための手助けを必要としている子もいると思います。学校が再開されつつあることは喜ばしいことですが、学校が再開されることによる子どものストレスにも注意を向けてあげることが必要だと思います。
3.相談できる環境づくりを
天災などの状況でも言えることですが、今回のようなウィルスの広がりによる世の中の動揺は子どもにとっても大人にとってもトラウマになりかねないものですが、周囲からの影響を受けやすい子どもの場合、その可能性は高くなります。
たとえ、世の中の状況についてはよく理解していなかったとしても周囲の人々の不安が高まっていると、それを感じて子どもも同じように不安になってしまいます。
子どもの場合、不安やストレスを感じている時の表現のされ方は気分の落ち込みなど精神的な症状として表れるとは限らず、どちらかというと何らかの(問題)行動という形で表されることが多いです。ストレスのかかりやすい状況下で子どもの行動の変化が見られたら子どもの状態に注意を払うことが重要です。
現在の生活や状況の受け止め方は人それぞれですが、危機的な状況下では心の余裕をもつことは難しいですし、不安もストレスも感じないように対処する、というのは現実的ではないと思います。そのため、自分や子どもの心理状態に意識を向ける習慣をつくり、変化が感じられるようなら相談できる環境をつくっておくことが危機を乗り越えていく上で大切なことだと思います。
______________________________________________
前のブログ記事:コミュニケーションのとり方を考えてみる
次のブログ記事:生涯発達の視点
カウンセリングをご希望の方はご予約ページからご連絡ください。
______________________________________________
「文責:川上義之
臨床心理士、公認心理師。病院や福祉施設、学校などいくつかの職場での勤務経験があり、心理療法やデイケアの運営、生活支援などの業務を行っていました。2019年に新宿四谷心理カウンセリングルームを開設、現在は相談室でのカウンセリングをメインに行っています」
______________________________________________
新宿・曙橋でカウンセリングルームをお探しなら新宿四谷心理カウンセリングルームへお越しください