行動を変える道筋
1.継続は力なり?
何事も続けていくことは自分の将来的なこやしになると言われています。活動に伴う技術や知識が向上するだけでなく、根気や馴化など心理面に対する効果もあると思います。
ただ、続けることが必ずしも自分にとってプラスになるとは限らない行動もあります。たとえば、飲酒やギャンブルなどはほどほどであれば気分転換やコミュニケーションの促しに役立つかもしれませんが、過度になってしまうと健康的・経済的に大きな困難をもたらしてしまいます。
飲酒やギャンブルに限らず、どんな活動もその時の自分の置かれた状況やどんな目的で行うかによって適正な活動の仕方というものがあるように思います。その適正を外れてしまうと何事も害になってしまう可能性があるのかもしれません。
どの程度の活動が適正かというのは人によって異なります。人によって、完全に止めてしまうことが必要かもしれませんし、活動量を減らすことで丁度良くなる場合もあると思います。
自分にとって適性な活動量がどのくらいかを見つけた上でその適正に近づけていくことが大事になります。
2.行動の制限
ある行動が過度になってしまって困っているのに、止めたいと思っても止められない状態になってしまうことがあります。そのような行動は自分の意志でコントロールできる範疇を超えてしまっているのです。
そのため、そのような行動をコントロールしていこうと考えた場合、やりたいと思っても出来ないような方法や何かしら強制的に止めなければならない方法を探していくことが必要になります。
やりたいと思っても出来ない方法として、行動同士が両立しない状況をつくってみることが挙げられます。たとえば、ゲームを止められず困っている場合、読書や勉強したり、あるいはどこか外に出る場所をつくっておいたりするのもいいかもしれません。それらの活動をしている間はゲームをすることはできないでしょう。
他には、ある活動をするための条件を満たすことができない状況をつくることも選択肢のひとつです。ギャンブルをするためにはお金が必要ですが、ギャンブルに使えるお金を持たないようにすればギャンブル自体を行うことができなくなります。
以上のように、自分の置かれた状況の中で可能な方法を見つけていくことで困ってしまう行動を止めたり減らしたりしていくことが可能になると思います。また、一人で対策を行っていくことが難しい場合には誰かにフォローしてもらうことを検討することも大切です。
自分の意志で止めることが難しいと述べましたが、意志が全く必要でないかというとそういうわけではなく、自分がすべきことの意志を持つことは大事なことだと思います。
3.背景を考えてみる
人がある活動を行う理由は様々だと思います。ちょっとした気分転換で行っていることもあれば、生きがいを感じていることもあるでしょう。
何かしらの目的があってその活動を行っているのだと思いますが、自分ではどうしようもないほどその活動にのめり込んでしまっている時は、その活動をする目的が変わってしまっていたり、自分の自覚していない目的があったりするかもしれません。
たとえば、単純に楽しいと感じるだけだった活動(たとえばギャンブル)が楽しみよりも刺激を求めるための活動になってしまっていたり、空虚感を埋めるためだけの活動になってしまっていたりするかもしれません。
満足への欲求や感じている空虚感が強ければ強いほど、その活動を行おうとする動機付けも強くなります。その場合、行動の制限を設けてもそれを回避しながら活動を行う方法を見つけようとするかもしれません。
そのように動機付けられた行動を変えていくためには、行動を制限するだけでなく、その活動から何を得ているのかということや満足を得るために代替できる活動は何かということを探していくことが必要になります。
そのように自己の心理状態や活動との結びつきを分析しながら、少しずつ結び目を解いていく作業を進めていくことが大事なことだと思います。
______________________________________________
前のブログ記事:経験の意味付け
次のブログ記事:自己評価と他者評価
カウンセリングをご希望の方はご予約ページからご連絡ください。
______________________________________________
「文責:川上義之
臨床心理士、公認心理師。病院や福祉施設、学校などいくつかの職場での勤務経験があり、心理療法やデイケアの運営、生活支援などの業務を行っていました。2019年に新宿四谷心理カウンセリングルームを開設、現在は相談室でのカウンセリングをメインに行っています」
______________________________________________
新宿・曙橋でカウンセリングルームをお探しなら新宿四谷心理カウンセリングルームへお越しください