自己評価と他者評価
1.自己評価と他者評価のズレ
評価とは一般的に、出来る出来ないといった能力的側面や良い悪いといった価値的側面などについて判断をすることです。また、自分で自分を評価することを自己評価、他人が自分を評価することを他者評価といいます。
評価は客観的な指標のみでなされるものではないので、自己評価と他者評価が完全に一致することはありませんが、多少のズレがあったとしても納得のいく範疇であれば、評価のズレに関して問題になることはないかと思います。
しかし、自己評価と他者評価のズレが納得できる範疇を超えて大きくなってしまうと、心理状態や行動面に対して影響を与えるようになります。
たとえば、自己評価の高さに対して他者評価が著しく低いと感じれば、自分が行っているパフォーマンスが正当に評価されていないと不満感をもつかもしれません。逆に低い自己評価に対して他者評価が高すぎると感じれば、それがプレッシャーになってしまい持っている力を発揮することが難しくなってしまうかもしれません。
評価のズレによって心理的な不安定さが生じていると考えられる時、他者評価が気にならないような方法を考えることもひとつですが、気になることを気にならないようにするというのは難しいことなので、評価のズレを解消する方法を検討することもひとつだと思います。
2.評価のズレを埋める
評価のズレを埋めていく時に、自分に対しても他人に対しても、いきなり評価を変える/変えさせるというのは難しいと思います。評価はその対象となる出来事の積み重ねで形作られるので、評価を変えていくためには同じように出来事を積み重ねていく必要があるからです。
そのため評価を変えていくには、まずはどのような出来事の積み重ねが今の評価につながっているのかを知ることから始めることが大切です。評価と出来事の関連を知ることで、その評価に至った理由を知ることができますし、評価が妥当なものか誤りがあるのかを考えることもできます。
自分や他者の評価の仕方を知り、誤解があれば修正し、妥当であれば行動を改めることで、ゆっくりとではあるかもしれませんが、少しずつでも評価のズレを埋めていくことができると思います。
3.評価は自他を理解すること
評価は必ずしも優劣や価値を判断することに限られるものではなく、自分や相手に対する理解を表すものでもあると思います。
また、評価には評価する人の価値観や性格、相手との関係の性質などが反映されていると思います。
したがって、自己評価や他者評価を掘り下げていくことは自分や他者が自分のことをどう理解しているかだけではなく、自分や他者がどんな特徴を持っているのかを知ることにもつながるのではないかと思います。
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「文責:川上義之
臨床心理士、公認心理師。病院や福祉施設、学校などいくつかの職場での勤務経験があり、心理療法やデイケアの運営、生活支援などの業務を行っていました。2019年に新宿四谷心理カウンセリングルームを開設、現在は相談室でのカウンセリングをメインに行っています」
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