VRでのカウンセリング
1.VRの可能性
VR(仮想現実)の話題は以前に比べると少し落ち着いてきている感がありますが、コロナによる外出制限(日本では外出自粛でした)の影響もあり、VRヘッドセットの売り上げが伸びているというニュースがありました。
その関連で、メンタルヘルスにおけるVRの利用として以下の記事が出ています。
『VRで人の性格があらわに。心理学研究でのVR利用増加、メンタルヘルスにも期待』
(AMP)(https://ampmedia.jp/2020/11/17/vr-mental/)
上記の記事では、VRを用いた行動研究によって個人の性格傾向を明らかに出来る可能性が示唆されていたり、高所恐怖症の治療や手術中の患者さんへのVRの利用で一定の効果があったことが紹介されています。
研究論文を確認したわけではないので、研究の詳細はわからないのですが、仮想現実において、現実では困難な研究や治療の条件を整えることで、研究や治療の可能性を広げていくことが出来るとすれば、VRが社会インフラのひとつとして整備されるようになるかもしれませんね。
2.対面、ビデオ、VR
心理カウンセリングに関して言えば、現状ではテレワークの広がりによってビデオ通話アプリを使った遠隔でのカウンセリングが少しずつ増えてきていますが、相手の様子を知る上ではやはり色々な制限があります。
基本的には顔を映していることがほとんどですので、相手がどんな仕草や動作をしているかを知ることは難しいですし、物理的に離れている状況なので、他者が同じ空間にいることの影響を知ることもできません。
そのような意味では、同じ心理カウンセリングであっても、同じ空間で会っている対面でのカウンセリングとビデオ通話を使った遠隔でのカウンセリングは質的に異なっているものと考えることができます。
では、VRを使った心理カウンセリングではどうなるのかは興味のあるところです。物理的には同じ空間にいるわけではないので、遠隔カウンセリングの一種と考えることもできますが、仮想空間の中ではまるで相手が目の前にいるような状況を再現することができます。その点では対面カウンセリングのようなものかもしれません。
3.今後はどうなる?
VRの現状としては、機器を持っている人の割合はまだまだ趣味の域を出ないものではありますし、技術的にも発展途上のものではありますので、VRが身近で当たり前のものになるまでには時間を要すると思います。また、今後の社会の在り様次第では、一部での利用にとどまりあまり広がらないままになるかもしれません。
ただ、テレワークが今後ゼロになるということはないように思いますし、それに伴って人の居住地域が広がっていけば、遠隔での心理カウンセリングの機会は増えていくと思います。
上記したように、対面とビデオが質的に異なっているとすれば、ビデオカウンセリングが合わずに対面を希望する場合もあるかもしれません。でも実際に相談室まで行くことが難しい場合にVRを利用するということも考えられます。
将来的にどのような状況になるかはわかりませんが、対面、ビデオ、VRが併存していくことになればいいなぁ、と対面カウンセリングにこだわりたい者としては考えている次第です。
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「文責:川上義之
臨床心理士、公認心理師。病院や福祉施設、学校などいくつかの職場での勤務経験があり、心理療法やデイケアの運営、生活支援などの業務を行っていました。2019年に新宿四谷心理カウンセリングルームを開設、現在は相談室でのカウンセリングをメインに行っています」
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