情報の取捨選択と自己判断
１．不安な日々
春分の日を過ぎて、暖かい気候になってきましたし、陽も長くなって明るい時間帯が増してきましたが、気持ちまではなかなか明るくなれない日が続いていますね。
ロシアのウクライナ侵攻が始まって１ヶ月以上が経過しました。両国間で停戦に向けた協議を継続していますが、妥結までの道筋はなかなか見えず予断を許さない状況です。
ウクライナの状況がニュースにならない日はありませんし、コロナも蔓延防止が解除されたとはいえ、気を抜くわけにもいかない状況です。
国際社会の混乱は当然のことながら日本にも様々に影響しますし、今後はどんな状況が日常になっていくのか、不安な気持ちになってしまいます。
影響があるとはいえ、離れた場所にいる私と現地の人々とでは比べるべくもないかもしれませんが、ウクライナで戦禍に遭われた方々の心中は想像を絶するものがありますが、ウクライナの人々が国を守ることができ、その上で一日も早い戦争の終結とその後の復興が進んでいくことを祈っています。
２．情報の混乱
ウクライナでの戦争に関連する情報は先述のように日々流れていますが、情報によっては、たとえばウクライナ側とロシア側の発表で矛盾するようなものがあったりして、実際に何が起こっているのかよくわからなくなってしまう類の情報もあります。
戦時下にあることを考えれば、状況は当然混乱していますし、その中で誤情報が飛び交ってしまうのは避けられないものだと思いますし、それぞれの陣営が自分たちに有利になるようなプロパガンダ（誇張や虚偽を含んだ情報）を流すこともあると思います。
そのような状況にあることを考えると、正確な情報を得ることにはやはり限界があるのだと思いますし、そもそも何が正確な情報なのかということも判断の難しいものになると思います。
そのため自分が接している情報が正しいものとは限らない、ということを前提にニュースを読み取っていくことが重要になると思います。
３．情報の取捨選択と判断
現状では、日本にいてウクライナでのことに関連して、今すぐ何かを判断しなければならないという状況にある人は少ないかもしれませんが、情報収集について検討しておくことは他の状況においても役に立つように思います。
情報を取捨選択する際に注意しなければならない点として、自分の考えに一致するような情報や感情的に受け入れやすい情報は選び取られやすいことが挙げられます。そのような情報は自分にとって良いものに映るため目立ちやすいのだと思います。
また他の注意点としては、信頼や信用の高い対象からの情報は無批判になりがちなことです。信じている相手からの情報なので、その情報を信じるのは当たり前でもありますが、その相手が間違えない保証はない以上、その情報を無条件に信じることには慎重になることも大事だと思います。
それらを踏まえて情報を集めていくことを考えると、まずは幅広く情報を集めてみることです。情報の提供元や情報同士が矛盾するかどうかに関わらず広く情報を集めてみます。
次に種類に応じて情報を分類してみます。同じ事柄に関すると思われる情報を寄せ集めていくといくつかの情報群に分類できると思います。そうすると辻褄が合う、合わないといった情報同士の関係がみえてくるかもしれません。
その次に情報の提供元を確認してみます。利害関係のない提供元が同じ情報を出していたとすれば、その情報が事実であると見なしてもいいかもしれません。
情報の取捨選択に関しては、他にもやり方はあるかもしれないですが、一通りの手順を踏まえて情報整理を行っていけば、誤った情報で動いてしまう可能性を少しでも下げられると思います。
ただ、上記のような手順を世の中に存在する情報全てで行っていたら時間がいくらあっても足りなくなってしまいます。そのため情報の整理を行うのは自分が今後どうしていきたいかという判断をする必要がある場合に行うのがいいかと思います。
情報は自分が何かを判断するために必要になるものなので、その観点から情報の取捨選択や整理を行っていくことが大事なのではないかと思います。
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「文責：川上義之
臨床心理士、公認心理師。病院や福祉施設、学校などいくつかの職場での勤務経験があり、心理療法やデイケアの運営、生活支援などの業務を行っていました。2019年に新宿四谷心理カウンセリングルームを開設、現在は相談室でのカウンセリングをメインに行っています」
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