新しい生活に馴染んでいく
1.年度替わり
夏日になるような暖かい日があったと思えば、急に気温が下がって冬のように寒くなったり、気温が安定せず体調管理の難しい季節ですね。どんな服装をしていこうか迷ってしまうこともあります。
4月になって新しい年度が始まりました。すでに新生活をスタートさせている人も多くいるのではないかと思います。
新生活が始まる前は期待と不安の入り混じった気持ちが強くなると思いますが、実際に新生活が始まると、日々の生活を送ることに手一杯になってしまって、自分の気持ちを振り返る余裕がなくなってしまうことも少なくないと思います。
五月病と言われている状態の一部は、自分の心理的な状態が疲れていることに気づかないまま過ごしてしまった結果なのかもしれません。
そのような状態を回避するためには、適度に心身の休息をとっていくことが効果的ですが、慣れない環境で自分の状態に気づき適切に休息をとることもなかなか難しいことです。
心の余裕を確保するためには新しい環境への慣れが必要ですが、ただ慣れるのを待つだけでは時間がかかってしまうかもしれません。そのため慣れるべき事柄や自分の長所・短所などについて考える時間をつくることが重要です。
2.慣れるためにどこから手をつけていくか
新しい環境に入っていく時には、知らないこと、わからないことだらけで、物事について考えるというよりは指示に従ってとにかく動いていくことになりやすいと思います。
ただ、その中であっても以前の経験から応用できることもあるかもしれませんし、やるべきことの中でも得意なこともあれば苦手なこともあると思います。
慣れていくことが必要な事柄は、たとえば仕事の手順であったり人間関係をつくることであったりしますが、そのように慣れが必要な事柄を分類してみて、何から取り掛かっていくことが自分にとってやりやすいかを考えてみるといいと思います。
複数の事柄を同時にこなしていこうとすると対処が追いつかずに混乱してしまいがちですが、やるべきことをいくつかに分けて順番に対処していくことで取り組みやすくなるのではないかと思います。
また、ひとつの事柄に慣れていくことで、別の事柄についても取り組みやすくなるかもしれません。たとえば、仕事の段取りがつかめてくれば、仕事の内容について周囲の人とコミュニケーションをとりやすくなり人間関係をつくりやすくなるかもしれませんし、逆に周囲の人とのコミュニケーションに慣れていけば、仕事の段取りについても相談したり手伝ってもらったりしやすくなるかもしれません。
早く慣れるためにどこから始めていくかは人それぞれだと思いますが、自分の長所・短所と絡めて考えていくと進めやすいように思います。
まとめると、
1.やるべき事柄の分類
2.優先順位の決定
3.優先順位の高い事柄から順番に取り組んでみる
4.うまくいかなければ分類や順位を見直してみる
という感じでしょうか。
3.行き詰まってしまった時
慣れるべき事柄を複数に分類して順番に取り組んでいけば、漫然と取り組むことに比べてより早く慣れることができるのではないかと思いますし、新しい環境に慣れていけば、気持ちの余裕も生まれてくると思います。
ただ、いつも順調にいくとは限りません。物事を整理して取り組んでいってもなかなかうまくいかないこともあると思います。うまくいかないことは後回しにしてもいいかもしれませんが、必ず後回しにできるとも限りません。
そうなるとうまくいかない状況を打開していくことが必要になります。ただ、そもそもうまくいっていないことなので、やり方を変える必要があるのですが、ではどうするかとなるとアイデアを出すことも難しいと思います。
そのような時は一度物事を整理して考えてみるといいと思います。たとえば、
・取り組んでいる事柄について知っていること、わからないことを整理する
・自分が行っていることをいくつかの要素に分けてみる
・自分が行っていることと結果との関係を考えてみる
・他者から意見をもらう
などが挙げられます。
情報を整理することで見えてくるものがあるのではないかと思います。また、一人で考えているとどうしても思考がループしてしまうことがあるので、一人だけで考えずに他者の意見を取り入れることも大事だと思います。
必ず問題が解決するとは限りませんが、状況を変化させるきっかけにはつながるかもしれません。行き詰まっている時には色々と試してみることが重要と思います。
4.時間を置くことも必要
新しい生活に馴染んでいくことは大事なことですが、全ての事柄について急いで慣れなければいけないということもないと思います。優先順位と書きましたが、出来るだけ早く慣れていった方がいい事柄と、時間をかけてもいい事柄があると思います。
また、努力してもどうしても馴染めないこともあるかもしれません。早く慣れることが要求されている場合は難しいかもしれませんが、時間をかけてもいい事柄であれば、取り組むことを一旦止めて脇に置いておくことも選択肢のひとつだと思います。
変わらない可能性ももちろんありますが、時間をおくことでまた違った気持ちで取り組めるようになるかもしれません。違った気持ちで取り組むことができれば、結果も変わってくる可能性はあると思います。
押して駄目なら引いてみろ、という言葉がありますが、うまくいかない時にはやり方や考え方を変えてみる必要があると思います。
また、「~しなきゃいけない」と考えてしまうと視野が狭くなりがちです。慣れることが難しい時には「まあ仕方ない」と気楽な気持ちを持てるようになると、取り組み方も変わってくるかもしれません。
新しい生活に入っていく時には不安と緊張でどうしても固くなってしまいますが、できるだけ気持ちをほぐせるように自分に言い聞かせていくと、より柔軟に取り組めるのではないかと思います。
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「文責:川上義之
臨床心理士、公認心理師。病院や福祉施設、学校などいくつかの職場での勤務経験があり、心理療法やデイケアの運営、生活支援などの業務を行っていました。2019年に新宿四谷心理カウンセリングルームを開設、現在は相談室でのカウンセリングをメインに行っています」
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