心理カウンセリングとは?内容や料金、実際に受ける際の注意点を解説!
1.心理カウンセリングとは
1-1.色々なカウンセリング
カウンセリングという言葉が日本で使われ始めてからしばらく経ちましたし、今では日常の中で使われる機会も増えてきたのではないかと思います。カウンセリングというと主に医療や福祉・教育の場で行われているものをイメージする人が多いかもしれませんが、カウンセリング自体は様々な領域で行われています。
カウンセリングの本来的な意味合いは「相談者に対する専門的な相談支援」というもので、相談者から持ち込まれた相談事に対して、それぞれのカウンセラーが自身の専門分野の知識や技術を使って相談内容の改善や解決を目指していきます。たとえば、ビジネス分野であればキャリアカウンセリング、法律分野であればリーガルカウンセリング、他にもリラクセーションカウンセリングとか結婚カウンセリングなど、専門領域ごとに様々なカウンセリングが行われています。
1-2.心理カウンセリングとは
上で見たように、カウンセリングのあたまに各分野の名前が付きますので、心理カウンセリングは「相談者の心理的な問題に対する相談支援」ということになります。ここでいう心理的問題とは、うつや不安などの精神的な症状のことだったり、性格や人間関係の悩みだったり、もっと漠然としたうまくいかない感じであったりなどなど、困り事や悩みに何かしらの心理的な要素が関係している事柄です。そのような心理的問題に対して主に心理学的な知識や技術を用いて相談支援を行っていくことが心理カウンセリングということになります。
心理カウンセリングの対象となる相談事はかなり幅の広いものです。それは人の活動、生活に心の関与しないことがほとんどないからです。そのため他の専門領域のカウンセリングでも心理カウンセリング的な要素が含まれていることが少なくありません。たとえば、キャリアカウンセリングにおいては今後のキャリア形成が主な相談内容になると思いますが、就職や転職に関して相談者が不安を抱えているとすれば、それは心理カウンセリングの対象となることもあるかもしれません。またリーガルカウンセリングの場合でも人間関係の悩みであったり、場合によってはトラウマであったりなどがカウンセリングの際に問題になることがあるかもしれません。他のカウンセリングであっても同様なことはあるかと思います。
心理的な問題に含まれる事柄の幅が広いため、心理カウンセリングと他のカウンセリングの境目は明瞭に区別できるものではありませんし、上記したように重なり合っている部分も少なくありません。心理的な問題の影響が大きい場合には、主な相談内容が心理的な事柄にまつわることでなかったとしても心理カウンセリングを併用することで主たる相談事がスムースに進むということもあるかもしれません。
もちろん、心理的な問題を抱えているからといって、必ずしも心理カウンセリングが必要になるとは限りません。周囲のサポートを得ることで自分なりに対処することができるかもしれませんし、複数の問題を抱えている場合にはひとつの問題に絞って取り組んでいく方がうまくいくということもあると思います。心理的な問題にどう対応していくかは人によって、また状況によって変わってくることではありますが、なかなか知り合いには相談しづらいことであったり、問題が長く続いていたりする時には心理カウンセリングを受けてみることもひとつと思います。
1-3.心理カウンセリングと心理療法の違い
心理的な問題への相談支援としてはカウンセリングという言葉が一般的と思いますが、心理療法あるいはサイコセラピーという言葉を聞いたことがある人もいるかもしれません。これらの言葉は使う人によって微妙に意味が変わってくることもありますし、厳密にそれぞれを使い分けている人もいますが、あまり区別をせずに使っていることが多いのではないかと思います。
あえて違いを挙げてみるなら、カウンセリングが心理的な問題への相談支援全般を指しているのに対して、心理療法・サイコセラピーは医療領域で使われることが多く、精神症状の治療や問題行動の改善という意味合いが強いかなと思います。また相談支援のための理論や方法は様々なものがありますが、そのような特定の「~療法」を行っている場合にも心理療法・サイコセラピーの言葉が使われることがあります。
2.心理カウンセラーが働いている場所
2-1.心理カウンセラーの資格
専門的な相談支援は様々な領域で行われていますし、相談支援(相談を受けること)自体は日常的な行為であるため、心理カウンセリングを行う上で持っていなければならない資格というものはありません。特に資格を持たないままでも心理カウンセリングを行っていると銘打つことはできます。ただ、「専門的な相談支援」なので、自分の専門を証明するために何かしらの資格を持って働いている人がほとんどなのではないかと思います。
心理相談の幅が広いために心理職の持っている資格も多岐に渡ると思いますが、心理学を専門性とする資格としては『公認心理師』があります。この資格は2015年に制度化された比較的新しい資格で、現状では心理の名前が付く唯一の国家資格でもあります。
民間資格に関しては複数の法人が独自の資格認定を行っており、特定の領域に専門特化したものから汎用的なものまで色々な資格が存在しています。その中でも心理職として働いていて取得している人が多いものは『臨床心理士』の資格です。この資格は1988年に資格認定が開始された、心理職の資格の中でも古いものです。
2-2.心理カウンセリングを受けられる場所
上でも述べたように、心理カウンセリングの要素を含む相談支援は様々なところで行われていて、心理職が働いている場所も色々なところがありますが、主な領域としては、医療・福祉・教育・司法・産業、それと心理カウンセリングを専門に行っている機関および個人の相談室が主だった場所になります。このうち福祉・教育・司法・産業領域はカウンセリングを受けられる対象が決まっていることが多いです。たとえば、学校にいるスクールカウンセラーの場合は生徒と保護者が対象となるように、それぞれの領域に関わりがある人に対してカウンセリングを行うことが主になります。そのためそのような場所とは関係なくカウンセリングを受けようと考えた場合は医療機関かカウンセリング専門の相談室が候補になります。
医療機関ではその病院に所属する医師あるいはカウンセラーがカウンセリングを行っています。カウンセリングを行っていない医療機関もありますが、心療内科や精神科の病院ではカウンセリングを行っているところが増えてきているようです。医療機関でのカウンセリングは医師の診療とセットで行われていることが多く、医学的な治療に併用してカウンセリングを受けているという人が多いのではないかと思います。また、診療の一環として行われている場合は保険診療が適用されていることもあります。
カウンセリング専門の相談室は組織で行っている場所か個人で行っている場所かに分かれます。組織で運営している相談室では複数のカウンセラーが所属しており、カウンセリングのための部屋がいくつかあって、同じ時間帯に数人の相談者がカウンセリングを受けられることが一般的だと思います。個人で運営している相談室では、当たり前ですがカウンセラーは一人なので、ひとつの時間枠に相談者が一人という形になります。心理カウンセリング専門の相談室では、基本的に会う相手はカウンセラーだけであるため、他の領域の心理カウンセリングに比べると心の問題への取り組みに集中しやすいかもしれません。
カウンセリングを受ける場所によってできる相談が全く異なるということはありませんが、各領域の特色というのはあると思いますし、カウンセラーの専門性も微妙に異なっているため、相談のしやすい内容というのはあるかもしれません。カウンセリングを検討する際に候補の中から自分の相談内容によって相談先を選んでみるのもいいかもしれませんし、迷うようなら問い合わせてみてから決めることも大事かと思います。
3.心理カウンセリングはどんなことをするの?
3-1.どんな時に心理カウンセリングを受ける?
カウンセリング全般が一般的になってきたといっても、いざ相談に行ってみようとするとハードルが高いと感じる人も少なくないかもしれません。相談すること自体に気後れしてしまうこともあるでしょうし、自分の抱えている悩みや困り事が相談内容として適当なのかどうか迷ってしまうこともあると思います。
心理カウンセリングに持ち込まれる相談内容としては心理的な事柄が関係する悩みや困りごとが基本的なものになりますが、心理的な事柄はかなり幅の広いものです。たとえば、身体や心の症状、性格、人間関係、育児や子どもの発達、仕事や学校での困りごと、過去の経験に関すること、将来のことなどなど。心理的な問題とはこういうもの、と定義すること自体が難しいことかもしれません。そのため悩みや困りごとの内容が心理カウンセリングに適当かどうかよりも、相談をしたいという気持ちが起こった時がカウンセリングを受けるタイミングと言えるかもしれません。もちろんどんな相談内容でも心理カウンセリングが適切というわけではありませんが、その場合はどこで相談することが合っているかをお伝えすることもできると思います。これから相談していく入口として心理カウンセリングを捉えてみてもいいかもしれません。
また、相談をすることやカウンセリングに対して不安を覚える人もいるかと思います。色々な情報を調べてみることも大切ですが、やはり受けてみないとわからないという部分はどうしても残ってしまうと思います。その場合は悩みや困りごとの話を始める前に、まずはカウンセリングに対する不安感を話し合って共有していくことが重要になります。何度か話をすることで不安は和らぐでしょうし、自分なりのカウンセリングのやり方を掴めてくれば居心地も良くなっていくのではないかと思います。
カウンセリングに限らず、何かを始めようとする時には、それが以前に経験したことがあることだったとして不安や緊張を感じることはあると思いますが、一度カウンセリングを始めたらしばらく続けなければならないということはありませんし、合わないと思えばすぐにやめることもできます。カウンセリングをやってみようか迷っている時には、とりあえず一度やってみてから考えるというような気軽な感じで相談をしてみてもいいかもしれません。
3-2.心理カウンセリングはどんなことをするの?
カウンセラーの理論的背景や技法によって違いはありますが、カウンセリングは基本的にクライエント(相談者)とカウンセラーの対話を中心に進んでいきます。クライエントの話に耳を傾け、理解を伝えること、傾聴と共感がカウンセラーの基本姿勢として広く共有されています。
特にカウンセリングの初期は対話を重ねることでクライエントとカウンセラーの間の信頼関係をつくっていくことが重要になりますが、この信頼関係が、カウンセリングを行う両者がクライエントの心の問題について共に考え、理解を深めていくための基礎になります。心の問題について話していく時に、いきなり問題の核心を話題にしていくことは難しいものですし、その場所やカウンセラーを安全と感じられて初めて触れることができるような内容もあります。カウンセリングの過程で感情的な揺れ動きも起こってきますが、基礎としての信頼関係がしっかりしている程、困難な状況を乗り越えていくための力になると思います。
3-3.カウンセリングはどんな方法で行うの?
カウンセリングの方法は大きく分けて対面でのカウンセリングと非対面(遠隔)のカウンセリングに分けられます。
対面でのカウンセリングはおそらく一般的にイメージされることの多い形式だと思います。相談者が相談室や病院などのカウンセリングを行っている場所まで出向いて、そこでカウンセラーと共にカウンセリングを行います。上でも述べたように、1対1での対話を中心とした形式が多いですが、箱庭や描画を使った方法や子どもであれば遊戯療法など、言葉以外のやりとりを取り入れた方法を行っている場所もあります。また、相談者とカウンセラーが2人で行うものだけでなく、家族療法や集団療法などでは相談者が複数人であったり、相談者もカウンセラーも複数人いる形式でのカウンセリングも行われています。ちなみに、集団療法に参加する相談者同士はそこで初めて出会ったという場合がほとんどです。
非対面(遠隔)でのカウンセリングは電話やメールなどのメディアを利用した形式が一般的でしたが、最近ではスマートフォンの普及と複数のビデオチャットサービスが出てきたこともあり、Webカメラを使ったオンラインカウンセリングが増えてきていると思います。手紙を使ったカウンセリングの話も聞いたことはありますが、かかる費用と時間を考えると特殊な例ではないかと思います。非対面カウンセリングはその性質上1対1か少人数での形式が多いと思います。ビデオチャットで参加者を増やすことは可能ですが、あまり大人数では参加者相互のやりとりは難しいのではないかと思います。
対面と非対面の大きな違いは行われる場所と触れる情報です。対面がカウンセリングを行っている特定の場所に行く必要があるのに対して、非対面では基本的に場所は問いません。さすがに人が集まるような場所で行うわけにはいかないですが、自宅でも出先でも様々な場所で行うことができます。場所に関する自由度は非対面が高いのですが、その反面やりとりする情報は限定されます。文字や声、あるいはカメラに映る範囲だけしか情報がないため、同じ場所にいる対面と比べると感覚的な情報量はどうしても少なくなります。
3-4.心理カウンセリングを受ける際の注意点
心理カウンセリングを行っていると、その過程で様々な感情が起こってきます。話し合われる内容が困りごと、悩みごとというだけでなく、自己の内面に関わるような内容になることも少なくないので、カウンセリング自体がしんどい、辛いと感じることもあります。心理状態が良くない時にはそうした心理的な負荷を耐え難く感じるかもしれません。自分の状態を勘案して「今の状態では厳しいかも」と思った時には、カウンセリングを始めることを延期する、あるいは医療機関への通院と並行しながらカウンセリングを行っていくなどの対応をとることが重要と思います。
また、これはカウンセリングを始めた後の注意点になりますが、共にカウンセリングを行っているカウンセラーが職業倫理を遵守しているかどうかは、相談者の側でもチェックすべきポイントだと思います。特に相談室外でカウンセリングの話をするなど、個人情報が管理が杜撰だったり、相談者と個人的な関係を持ってしまったりする場合には注意が必要です。このようなことはカウンセラーがカウンセリングの内と外を分けられていない可能性があります。
カウンセリングを続けていくとクライエントとしてカウンセラーに色々なことを求めたくなる気持ちが出てくることがあります。それに対してカウンセラーが応じてくれれば、その時は嬉しく感じるかもしれませんが、後々にはネガティブな結果になってしまうことがほとんどだと思います。あくまで求めたい気持ちをカウンセリングの中で扱っていくことが重要で、カウンセラーが実際の行動で応じようとする場合には一歩引いて状況を考えるべきと思います。
4.心理カウンセリングについてのまとめ
心理カウンセリングとは抱えている心の問題に関して相談支援を行う活動全般を指す言葉です。カウンセリングが行われている場所も対象となる人も多岐に渡りますが、病気の状態であってもより健康度の高い状態であっても心の問題を抱える可能性があることは共通しているためではないかと思います。
心理カウンセラーの資格は様々なものがありますが、一般的なのは国家資格である「公認心理師」と民間資格の「臨床心理士」です。前者はまだ制度化されて日が浅いですが、後者は取得までに時間がかかるものの心理カウンセラーとして働く上でスタンダードな資格のひとつでした。
悩みや困りごとの問題を一人で抱え続けていくことはなかなかつらいものです。そんな時は誰かに自分が問題を抱えていることを知ってもらうだけでも気持ちが軽くなることはあると思いますが、知っている人には相談しづらいこともあるかもしれません。カウンセリングを始める時にはカウンセラーは見知らぬ相手ですが、知らない相手だからこそ話せることもあるのではないかと思います。カウンセリングをすることが必ずしも問題の解決につながるとは限りませんが、カウンセリングを受けることで問題や自己に対する理解を深め、何かしらの気づきを得ることによって問題に対処していくための道筋を見つけられることもあるかもしれません。
また、何か問題を抱えていなければカウンセリングを受けることはできないということもありません。先にも書いたように、心理相談の内容はかなり幅の広いものですし、中には問題とは感じないものもあるかもしれません。問題を抱えていてもいなくても、自分のことを話したい、相談したいと思った時には心理カウンセリングを検討してみてはいかがでしょうか。
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「文責:川上義之
臨床心理士、公認心理師。病院や福祉施設、学校などいくつかの職場での勤務経験があり、心理療法やデイケアの運営、生活支援などの業務を行っていました。2019年に新宿四谷心理カウンセリングルームを開設、現在は相談室でのカウンセリングをメインに行っています」
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