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2024.09.14

トラウマ記憶から生じる苦しさに運動が効果的である可能性について

index

  1. 1.トラウマ体験と記憶
  2. 2.トラウマ記憶と運動
  3. 3.脳の情報処理過程

1.トラウマ体験と記憶

 生活をしているとなんらかのストレスを受けることは避けられませんが、解消することが難しいストレスが積み重なってしまったり、一度きりの経験であったとしても強烈なストレスを感じるような体験をしたりすると、それらのストレスはトラウマとなりえます。

 トラウマはPTSDを含むストレス反応性の精神疾患を発症させる原因のひとつになります。過度に神経が張り詰めた過敏さや、反対に刺激への反応や感情が感じられなくなる感覚麻痺などの症状が現れたり、そうした状態が続くことによって気分障害や不安障害などが併発することもあります。

 ストレス性疾患の症状のひとつにフラッシュバック、トラウマに関連する記憶が繰り返し現れてくるというものがありますが、これはその時のことを想起しているというよりは、突然に脈絡なく記憶が浮かんでくるもので、自分でそれをコントロールすることは不可能に感じられるものです。

 過去のトラウマに関連する記憶は薄れることなく残り続けることが少なくないのですが、これは当時の記憶が繰り返しフラッシュバックされることもあると思いますし、当時と同じように今も困難への対処ができないように感じられるからかもしれません。結果として、ストレス性疾患が長引いてしまうということがあると思います。

 PTSDや急性ストレス反応の治療の際に焦点となることは、トラウマに関連する記憶にどのように対処するかということになると思います。

2.トラウマ記憶と運動

 トラウマに反応することへの対処法として、たとえば呼吸法によって不安を和らげたり、よりトラウマに焦点づけた治療法として認知行動療法などが知られていますが、習慣的な運動が恐怖記憶の消去を促進するという研究が行われていました。

習慣的な軽運動が恐怖記憶の消去を促進、PTSDの予防に期待
(筑波大学プレスリリース(PDF))

 この研究はラットを用いて実験を行ったものですが、条件付けによって恐怖反応を示すようになったラットを、運動トレーニング群と安静群に分け、4週間後の消去学習の際の反応を比較したものです。恐怖刺激は特定場面における電気刺激です。

 全てのラットは恐怖を学習した場面におかれると立ちすくみ反応が見られましたが、安静群のラットは恐怖場面におかれると電気刺激がないにもかかわらず数時間後も立ちすくみ反応が見られたのに対し、運動トレーニング群は時間の経過とともに立ちすくみ反応は減少していったということでした。

 継続的に消去学習を行うことで安静群のラットも次第に立ちすくみ反応は減少していくのですが、運動トレーニングをした群のラットはより早い段階で行動的な変化が起こっていることから、運動トレーニングが恐怖記憶の消去を促したことが示唆されてます。

3.脳の情報処理過程

 運動と記憶というと結びつきにくいかもしれませんが、たとえばいつも決まった音楽を聴きながらランニングをすることが習慣になっていれば、その曲を聴くだけでランニングをしている時のことが想起されることがあると思いますし、他には、覚えたいことを書くことによって記憶に残りやすくなることも知られています。

 トラウマ治療に関して言えば、EMDRという治療法では眼球運動とトラウマ記憶の想起を同時に行うことで、眼球運動をしない時に比べて、よりストレスが少ない状態でトラウマ記憶を想起し話すことができるとされています。

 人間の活動は脳の機能によって制御されていますが、運動、記憶、感情は脳の情報処理において機能する部位が重なっている部分があるため、一見無関係に思える活動が脳の情報処理過程では関連していることもあるのだと思います。

 今回取り上げた研究では、運動の負荷の大きさよりも習慣的に運動することが重要なようでした。トラウマと思うほど強い記憶とは思っていないとしても、繰り返し不快な記憶が思い出されて困っている時には、ストレッチや散歩、ランニングなど軽度の運動を習慣づけることを試してみることもひとつではないかと思います。

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「文責:川上義之
 臨床心理士、公認心理師。病院や福祉施設、学校などいくつかの職場での勤務経験があり、心理療法やデイケアの運営、生活支援などの業務を行っていました。2019年に新宿四谷心理カウンセリングルームを開設、現在は相談室でのカウンセリングをメインに行っています」

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