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2026.02.16

心と身体の相互性 - 心の状態が身体に影響し、身体の状態が心に影響する

index

  1. 1.心身一如と心身症
  2. 2.ハーブのバリア修復効果
  3. 3.日常的なケアの重要性

1.心身一如と心身症

 身体と心のつながりを表現する言葉として心身一如という言葉があります。これは仏教の概念で東洋医学でも用いられた用語なのですが、身体の状態が心に、心の状態が身体に影響するという、身体と心に相互性があるとする考えです。

 日本語の表現では、たとえば膝が震えることを「膝が笑う」と言ったり、気持ちを引き締めることを「襟を正す」と言ったりすることがあります。身体の動きと心の動きを重ねるような表現は、身体と心が一体であるような感覚を表しているのかもしれません。

 西洋では心身二元論の考えから身体と心をそれぞれ独立したものとして捉える考えが根強かったようですが、たとえば精神科領域の診断で心身症の概念が出てくるなど、身体と心を関連するものとして捉える考えが広がっているように思います。

 心身症は、症状の経過・発症に心理的・環境的要因が密接に関連する身体疾患、と定義されます。心身症の種類はかなり多岐に渡り様々な疾患がリストされていますが、自律神経失調症や過敏性腸症候群などは聞いたことのある人が多いのではないかと思います。また環境要因が強い疾患として花粉症などのアレルギー性疾患も心身症の一種になります。

 心身症は身体疾患へのケアとともに心理的環境的要因への対処も必要になるのですが、特に心理的なストレスの影響が大きい場合には治療に時間がかかることが少なくありません。ストレス要因が解決の難しい性質のものである場合に治療が長引いてしまうのはもちろんですが、発症した疾患に伴う苦痛や生活上の制約などもまたストレスになってしまい、それが疾患を維持する要因になってしまうからです。

2.ハーブのバリア修復効果

 心身症の治療を進めていく際に、発症要因となった心理的環境的要因を解決することは重要なことですが、身体症状が強い場合には生活の質が低下してしまい、発症要因への対処が十分にできなくなってしまうこともあります。

 個人的な経験のせいもあるかもしれませんが、身体症状の中でも消化器系の症状は痛みや苦しさだけでなく、御手水のことが気になってしまう点でも生活面への影響が大きいように思います。症状が悪化した場合はやはり医療機関での治療が必要になりますが、あるハーブが腸の機能を保護し悪化を予防するのに役立つようです。

身近なハーブ由来の天然成分が腸のバリア機能を保護 ―炎症性腸疾患の新たな治療や予防などに期待
(東京工科大学プレスリリース)

 腸には腸管バリア機能があり、バリアが正常に働くことで有害物質が体内に取り込まれるのを防いでいるのですが、このバリア機能が損なわれてしまうと腹部の不快感や便通障害が生じたり、アレルギーや炎症性疾患のリスクが高まります。

 研究によるとハーブの一種である「セージ」に含まれる成分がこのバリア機能を修復する効果がある可能性が示唆されたようです。セージに含まれる成分のうち、二種類の物質(ジペルテノイド)が腸の細胞間のつながりを強化しバリア機能を守る働きがあることがわかりました。またそれらの物質がバリア機能を低下させる酵素の働きを抑制させる効果もあることが明らかになりました。

 セージに抗菌・抗炎症などの作用があることは知られていましたが、この研究でそのメカニズムが明らかになったということだと思います。セージを摂ることは腸の状態の悪化を防ぐだけでなく、腸の状態を改善することにもつながるかもしれません。

3.日常的なケアの重要性

 プレスリリースにはどのようにセージの成分を摂取したかは書かれていなかったので、調理法を調べてみたのですが、お肉料理に合わせるのが王道の使い方ということでした。セージはソーセージの語源にもなっているようです(諸説あり)。また乾燥セージを使ってお茶にしたり、オイルに漬け込んだりすることは手軽にセージの成分を摂れる方法だと思います。

 身体的な健康を改善するために有用なセージですが、過ぎたるは猶及ばざるが如し、やはり摂りすぎることはむしろ害になってしまうようです。一度に大量に使用することや日常的な長期間(三週間以上)の使用は避けた方がいいということでしたし、また妊娠・授乳中やてんかんの既往、高血圧や糖尿病の薬を飲んでいる場合は使用そのものを控えた方がいいということでした。

 途中からセージの話になってしまいましたが、心身症における身体症状を緩和することは心身症を治療していくための重要な要素になります。発症要因となるストレスなどに対処しようと思っても健康状態が悪化した中では難しくなってしまいます。

 心身症ではストレスなどの心理的環境的要因が継続的に影響しているため、身体面のケアだけで治癒するというのはなかなか難しいですが、身体症状が緩和されれば精神的にもだいぶ楽になるのではないかと思います。今回取り上げたのは食事に関することでしたが、適度な運動も身体的健康にプラスに働きますし、日常の中に予防的改善的な方法を取り入れることで心身症の治療を進めやすくなるかもしれません。

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「文責:川上義之
 臨床心理士、公認心理師。病院や福祉施設、学校などいくつかの職場での勤務経験があり、心理療法やデイケアの運営、生活支援などの業務を行っていました。2019年に新宿四谷心理カウンセリングルームを開設、現在は相談室でのカウンセリングをメインに行っています」

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