1.AIの発展と普及
最近、AI関連の話題を見ることが増えたのですが、AIの技術的な進歩は日進月歩で進んでいるように感じられます。数年前までチャットでのやりとりや画像生成などは不自然さが目立って、ネタとして取り上げられることも多かったですが、最近ではそうした不自然さもほとんどなくなってきているようです。
そうしたAI技術の進歩もあり、人々の生活の中にもAIがどんどん浸透してきています。新しいスマートフォンには基本的にAI機能が搭載されていますし、業務の効率化にAIを利用しているという人も増えてきていると思います。また直接的にAIを使うだけでなく、社会インフラに関わるビッグデータの収集・分析など間接的な形でもAIは人の生活に関わっています。
昨年くらいからはAIエージェントという、それまでは人が行っていた、たとえば列車や宿の予約、オンラインショッピングなどを代行するAIも登場しています。AI技術が今後どのように発展していくかは予想もつきませんが、余程のことがない限りは人の生活にAIが浸透していく流れは続いていくのではないかと思います。
2.AIを活用した将来予測の精度の向上
医療や保健の分野にもAIの活用は進んでいます。たとえば、診断の補助やカルテ管理、健康予防などが挙げられます。
医療費の削減が社会的なテーマとなっていることもあって、病気や怪我をいかに予防するかということが課題となっています。主に重視されることが多いのは適度な運動、バランスの良い食事、十分な睡眠といったことです。これらの重要性は統計的に明らかにされていることですが、個々人の健康リスクを確実に予測できるかというと必ずしもそうとは限りません。適切に管理していても病気になる場合もありますし、あまり顧みなかったとしても健康にいられることもあります。
これまでは個人の将来的な健康リスクをある程度の確かさで予測することは難しかったのですが、AIの分析を加えることで高い精度で予測できるようになるかもしれません。
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#1a0dab">NECと弘前大学、AIと健康ビッグデータを活用し、約10年先の健康リスクを個人ごとに予測する検証を実施
~生活習慣の改善や予防施策につなげ、早期の健康づくりに貢献~
(NECニュースリリース)
個人の継続的なデータを長期に渡って調査したデータを縦断的データと言います。そうした詳細な縦断データがあれば将来的な健康状態の予測の正確性は高まりますが、健康診断の制度があるにしても、実際には長期的なデータを収集して保存しておくことは困難が伴います。データの保管場所が複数に分かれることもありますし、データの保存期間にも限度があるためです。
そうしたことが将来的な健康状態を予測する際の難しさの一因にもなっていたわけですが、上記の研究ではAIを利用することで、短期的なデータから将来的な健康リスクを予測することが可能かどうかの検証を行いました。
詳細はリンク先を参照してもらえたらと思いますが、「岩木健康増進プロジェクト」で得られた健康データを活用し、長期予測AIに単年度データから3・6・9年後の健康状態を予測させた結果、予測値と実測値は0.67という高い相関係数を示したということです。
(※相関は事象Aと事象Bがどれくらい関連しているかを調べるための統計手法で、-1.0~+1.0までの値をとる(1.0に近いほど高い相関)。+は比例、-は反比例関係を表す)
従来に用いられていた平均値を予測値とする手法の相関係数は0.13ということだったので、AIを活用することで大幅に予測の精度を改善できたことになります。
3.AIの利便性と自分で考えること
AIの特徴のひとつとして一度に大量のデータを扱えるということがあります。そうしたことからAIは統計的な手法と相性が良いですし、少し前までAIを活用するのは主にビックデータを扱う企業や専門家がメインというイメージでしたが、現在ではそうして学習したデータを活用して、AIが個人のニーズに特化していく、パーソナライズドAI、さらにはより能動的に機能する自律型AIという方向へシフトしてきています。
たとえば、健康分野では、Googleが「Google health」というサービスの提供を始めましたが、Google healthは運動、食事、睡眠などのデータから個人の健康状態を分析するだけでなく、生成AIを活用して、得られたデータから最適なトレーニングやメニューを提案する機能が提供されるようです。
実際に病気に罹ったり怪我をしたりすれば病院での治療が必要なことに変わりはないですが、健康増進や病気の予防という個人が自分なりに取り組んでいく分野に関しては、AIの活用がどんどん当たり前のものになっていくかもしれません。
パーソナルトレーニング、コーチングというサービスはこれまで人が提供するものでした。そこにはただトレーニングメニューを提供するだけでなく人と人が実際に関わることの意味もあると思いますし、そうした意味は少なくとも現状ではAIが代替することのできないものだと思います。ただ、サービスとともにそうした意味を受け取るには相応のコストがかかりますし、やはりより多くの人がサービスを利用しやすいという点においてはAIに分があると思います。
AIがパーソナルなものになり利便性が増すことで色々なことをAIに任せることができるようになっていくと思いますが、当然ながらなんでもできるわけではないので、自分に何が必要かを考えることの重要性は今後も変わらないのではないかと思います。考えることや人との関わりは時に煩わしく感じてストレスを伴うこともありますが、そうしたことがむしろ心理的な活力を生むこともあるのではないかと思います。
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「文責:川上義之
臨床心理士、公認心理師。病院や福祉施設、学校などいくつかの職場での勤務経験があり、心理療法やデイケアの運営、生活支援などの業務を行っていました。2019年に新宿四谷心理カウンセリングルームを開設、現在は相談室でのカウンセリングをメインに行っています」
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