睡眠の働き
1.不十分な睡眠によって起こる問題
睡眠は生活状況などに影響を受けるため、眠っている時間帯やどれくらいの睡眠時間をとっているかは人によって様々ですが、睡眠は人の生活の1/3~1/4にのぼり、心身の休息やホルモンバランスの調整、心身の病気の予防など、健康な生活を送る上でとても重要なものです。
質・量ともに十分な睡眠をとれていることが大事ですが、厚生労働省の調査(2019)によると、日本人の5人に1人は「睡眠で十分な休養がとれていない」と感じており、その割合は増加傾向にあるようです。
睡眠の問題は不眠や過眠、睡眠時無呼吸、概日リズム(覚醒と睡眠の規則性)の乱れなどいくつかありますが、適切な睡眠がとれないことによって集中困難や活動中の強い眠気など日中の行動に支障が生じる可能性が高まりますし、場合によってはうつ病や不安症など精神疾患と関連していることもあります。
2.レム睡眠とノンレム睡眠
眠っている間は眠りが深くなったり浅くなったりというサイクルを繰り返していますが、脳や身体の活動状態の違いから「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の2つに大別されています。
2-1.レム睡眠
レム睡眠時には交感神経活動の亢進や筋肉活動の低下がみられます。また夢はレム睡眠時にみていると考えられており、記憶の活動も活発化していると言われています。脳の状態は起きている時の状態に近く、身体は眠っているけれども脳は活発に動いている状態です。
眠りとしては浅い状態で、起きているはずなのに身体が動かない(金縛り様状態)という経験をした人もいると思いますが、これはレム睡眠時の体験としてしばしば報告されています。
ちなみに、この睡眠状態の時には盛んに目が動いている(rapid eye movement:急速眼球運動)ことから名づけられました。
2-2.ノンレム睡眠
レム睡眠以外の睡眠状態はノンレム睡眠(あるいは徐波睡眠)と呼ばれていますが、睡眠の深さによって1~4の段階に分かれています。その特徴は脳活動の低下、交感神経活動の低下です。
脳や身体の活動はノンレム睡眠が1(浅い)から4(深い)に移るに従って低下していきます。そのため深い睡眠ほど心身の休息効果は高くなります。ある程度の時間2以上の深い睡眠がとれれば、ゆっくり休めたと感じられることが多くなります。
3.適切な睡眠がとれるように
睡眠状態改善のポイントとしては、
1.眠る時にはしっかり消化できている時間に食事をとる
2.適度な運動
3.お休み前の入浴
4.自分なりのリラックス方法をつくる
5.寝具や温湿度など眠る環境を整える
などがあります。
ただ、生活習慣と同様、睡眠サイクルも一度固定化してしまうと変化させることが難しいですし、仕事などの生活状況によってはなかなか改善に手をつけられないかもしれません。また、ストレスや悩みを抱えている状況で睡眠を改善しようと思っても不十分なものになってしまいます。
一人で状況を改善していくことが難しいと感じている時には誰かに相談してみることが良い結果につながることが多いと思います。抱えている問題によって周囲の人に相談してみる、あるいは医療機関や相談機関に行ってみる、など適当な相談先は異なると思いますが、一人で問題を抱えずに誰かと問題を共有することで解決の糸口が見つかるものだと思います。
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「文責:川上義之
臨床心理士、公認心理師。病院や福祉施設、学校などいくつかの職場での勤務経験があり、心理療法やデイケアの運営、生活支援などの業務を行っていました。2019年に新宿四谷心理カウンセリングルームを開設、現在は相談室でのカウンセリングをメインに行っています」
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