状況を整理して考えることで問題に取り組む取っ掛かりをつくる
1.どうしたらいいのかわからない時
人生は山あり谷ありと言われますが、生きていく中で順風満帆のように生活を送っているように感じられることもあれば、問題を抱えて停滞しているように感じられることもあると思います。物事が順調に進んでいればいいのですが、人生の最初から最後まで順調というのはそうないと思いますし、何かしらの問題や悩みを抱えることは避けられないように思います。
問題や悩みを抱えた時に大抵の場合はその問題や悩みの解消・解決を目指して取り組んでいくと思いますし、あるいは大した問題でないと思えばしばらくそのままにしておくこともあるかもしれません。ただ、問題が大きすぎて手に余ると感じられた時には、どう手をつけたらいいのかわからず、そもそも何をしたらいいのかわからなくなってしまうこともあるかもしれません。
そのような状態になってしまうと、解決のために取り組むこともできず、かと言って放っておくこともできないような、二進も三進もいかないような状態になってしまいます。最初のうちはストレス解消や気分転換などで気を紛らわすこともできるかもしれませんが、問題自体がなくなるわけではないので、次第に紛らわせることができなくなり、気持ちが追い詰められていってしまいます。
完全に行き詰まってしまうとパフォーマンスや活動性が低下してしまうこともあり、その状態から抜け出すことがより難しくなってしまいます。そのためすぐに解決は難しいにしても、少なくとも問題に取り組む状況をつくっていくことが重要です。
2.状況を整理してみる
問題に取り組むと言っても、そもそもどうしたらいいかわからず困っているわけですが、かと言って何もできないままだと何かしらの偶然によって問題が好転するのを待つしかなくなってしまいます。もちろん問題の性質によってはそうした偶然が重要なことがあるかもしれませんが、何かしらできることを見つけようとするのは無駄ではないように思います。
解決の困難な問題に取り組もうとする時に、いきなり解決法を考えようとしてもうまくいくことは少ないように思います。なのでまずは問題に取り掛かるための取っ掛かりを見つけることが必要です。
そういう時には自分自身の状況を見直して、問題に関わる事柄を整理していけると少し落ち着いて考えられるようになるかもしれません。
2-1.自分の望みを明確にする
問題の取り組み方を考えていく時に、どんな方向性で取り組んでいくのか、どんな結果を解決と考えているのかなど、ぼんやりとではあっても指針や目標を定めておくと、ではそこに向かうためには何が必要かと考えやすくなると思います。つまり、結果から逆算してやるべきことを考えていくということです。
目標を定める際に重要なのは自分が何を望んでいるのかということだと思います。問題の解決の形がひとつとは限りません。たとえば人との関係で問題を抱えている時に、相手との距離を縮める方向と距離を置く方向が考えられますが、どちらを目標に定めるかによって取り組み方は異なると思います。
どうすることが良いのか、あるいは正解かというのはなかなかわからないことなので、自分がどんなことを望んでいるのかということから考えると解決の形をイメージしやすいかもしれません。もちろん、実際に問題に取り組む時には、そう簡単に割り切れないことも多いですが、自分の望みや願いを把握しておくことで迷った際も決断をしやすくなるかもしれません。
2-2.段階的な目標を設定する
自分の望むことから目標がある程度定まったとしても、それは最終的な結果の部分、言ってみれば一番遠い目標になると思います。いきなり遠い目標に向かおうとしてもなかなかそこに到達することは難しいことが多いと思います。そのため遠い目標を達成するにはどんな条件を満たす必要があるのか、大目標に対する小目標を段階的に設定することが重要です。
遠い目標から近い目標に遡るのも、近い目標から遠い目標へ進めていくのも、どちらが正解ということもないので、自分にとって組み立てやすい方を採用するのがいいと思いますが、小目標の達成を繰り返すことで大目標に到達するという流れは外さない方がよいのではないかと思います。
遠い目標ばかりに意識が向いてしまうとそこに到達することは不可能なように感じられることもありますが、一段ずつ上っていける階段をつくることで、いずれ上層に辿り着けるのではないでしょうか。
2-3.問題に取り組むための準備をする
大目標と小目標が定まったらそのまま取り組みを進めていくこともできますが、取り組みを進めていくための前準備を行っておくことで、進めていく過程がスムースになるかもしれません。
この場合の準備とは、たとえば何か道具が必要ならそれを用意したり、必要なスキルを身に着けたりすることなどです。少しズレた例えになってしまうかもしれませんが、誰かにご挨拶に上がる時に手土産を用意するというイメージです。問題の性質によっては必ず前準備が必要になることもあるでしょうし、なくてはならないものではなくてもあった方がより良いということもあると思います。
必要な準備について考えることは問題の性質を理解する上でも役立つかもしれません。目標を達成するための道筋はいくつかあることが多いと思いますが、問題を見直してみることで何をしたらいいかがより見えてくるかもしれませんし、場合によっては目標を修正することもあると思います。「前」準備と書きましたが、一発勝負でない限りは取り組みの前でも最中でも後でも準備を行うことはできるので、繰り返し見直しながら試行錯誤していくことが重要だと思います。
2-4.必要に応じて人に協力を求める
自分が抱えている問題は自分で解決していく、というのはその通りなのですが、一人で問題に取り組んでいかなければならないかというと必ずしもそうとは限らないと思います。誰かが自分の問題を解決してくれるわけではないですが、問題に取り組んでいくための協力をしてもらったり、取り組んでいく過程を支えてもらったりなど、他者の存在が重要になることも少なくないと思います。
問題に対する悩みが深いほど誰にも理解されないように感じられるかもしれません。実際に他の人が自分の問題を理解することが難しいこともあるでしょうし、何かができるということもないかもしれませんが、困っていることや苦しんでいることは理解できることもあると思いますし、それが助かると感じられることもあるかもしれません。
また、誰かに自分の状況を話すことで、的確かどうかは別として、何かしらアドバイスをもらえることはあると思いますし、状況の整理を進められることもあるのではないかと思います。問題に取り組む際、全ての人に他者の助けが必要とまでは言えませんが、一人で問題に取り組むことが難しいと感じた時には協力してくれる人を探してみるといいと思います。
3.うまくいくとは限らなくとも
本当に手の打ちようのない問題というのもあると思いますが、問題を抱えて何をしたらいいかわからないという時には、一種のパニック状態に陥っていて視野が極端に狭くなっていたり、悲観的になっていて何もできないと思い込む、決めつけていることもあるのではないかと思います。そういう時には一度冷静さを取り戻すことが必要です。
残念ながら、状況を整理して考えてみれば必ず問題解決につながるとは限りません。整理して考えてみたけれど、やっぱりどうしたらいいかわからないということもあると思いますし、目標を定めて問題に取り組んでみたけれど、結局問題解決には至らないということもあると思います。それは解決できない問題ということなのかもしれませんし、取り組むタイミングが重要な問題ということなのかもしれません。
ただ、実際に解決できるかどうかとは別に、考えることや行動を起こすことは重要なことだと思います。今抱えている問題の解決にはつながらなくても、また別の問題に取り組む時に役立つことがあるかもしれないですし、少なくとも考えることや行動を起こすこと自体が経験になると思います。
行き詰まってしまった時には、自分自身を振り返って状況を見直してみてはいかがでしょうか。
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「文責:川上義之
臨床心理士、公認心理師。病院や福祉施設、学校などいくつかの職場での勤務経験があり、心理療法やデイケアの運営、生活支援などの業務を行っていました。2019年に新宿四谷心理カウンセリングルームを開設、現在は相談室でのカウンセリングをメインに行っています」
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